FX初心者のための、FX業者についてまとめた解説【おすすめ業者も】
FXに初めて資金を投じようとしている初心者向けに、FX業者とは何か?といった簡単なことから、初心者向けにFX業者やブローカーについて解説をしてみます。日本のFX業者にはびこる「闇」についても少し踏み込んだ、分かりやすい解説に仕上げました。そして最後に、解説から考えられる優良な国内FX業者をいくつか紹介します。
この記事の中身
FX業者とは何なのか?
FX(外国為替証拠金取引)は、レバレッジを効かせて少額の資金でも多大な利益を引き出せる投機の1つ。日本では多くの人がFXで億を稼げるという根拠のない自信を持っており、そういった人たちを相手に取引をして稼いでいるのがFX業者です。
そもそもFX業者がどうやって稼いでいるのかを、実際にFXをする前に考える人はほとんどいない。
FXをこれからやろうとしている人は、必然的に「稼ぎたい」一心なので、業者が儲かっているかどうかなんて知ったことではない。スプレッドが狭くて、手数料が安い業者ならそれでいいのだ。
しかし、よく考えなければならない。
なぜ、あのスプレッドを、手数料を安くあるいは無料で、提供できるのか?
ここでFX業者の仕組みを知っておく必要がある。そして、日本のFX業者がどのように儲かっているのか、そもそもブローカー(FX業者)というビジネスモデルがどのようにして成り立っているのか。そのあたりを解説します。
まず、FX業者が稼ぐ仕組みのひとつ。スプレッドから。
図を見ながら解説します。ある個人が100.00円でドル円を買ったとします。その注文はFX業者に届き、そしてリクイディティプロバイダー(LP)という為替のレートを出している銀行に業者が注文を出します。すると、LPは3pips上乗せたした価格を業者に与えます。次に、業者がさらに3pipsを上乗せした100.06という価格が個人のもとにようやく届きます。
100.00円で出した注文が、なんで最終的に6pipsも上乗せされた注文が返ってくるのか。
FX業者がLPに出した注文に3pips上乗せしたのは、LPも銀行ですから利益を出さねばならない。そのため、100.00で買ったドル円を100.03で業者に売ったんですよ。このわずかな「差」で利益を抜いている。
そしてFX業者はLPから提供された価格のスプレッド分を埋めるか、あるいは利益を出さなければ経営が成り立ちませんから、3pips上乗せして個人(利用者)に価格を返します。LPから提供された3pipsのスプレッドを、客に3pips払わせることで相殺しているのです。
この仕組みを考えながらFX業者を選んでいる日本人は、多分ほとんどいないでしょう。
銀行や金融機関は、基本的に利ざやで食っている連中なんです。手数料ゼロを謳っている業者でも、スプレッドで稼いでいる業者だったりします。
リクイディティプロバイダーやFX業者、ブローカーが「スプレッド」などの差で稼いでいることは分かりました。
でも、これだけでは正直いって手数料ゼロや、ドル円の0.3pipsなどと言った極めて低いスプレッドを提供することは出来ません。もうひとつ、ブローカーのビジネスモデル自体に稼げる構造があるんですよ。
参加者の大抵は負けているという前提
最初こそ、自分は勝てるという謎の自信に満ちた状態で売買を始めます。そして半年ほどして現実に気づき始める。
「勝てない・・。」
中には、夫婦でためてきた貯金を切り崩して、マイホーム資金だった5000~6000万円を追証で消し飛ばしてしまう悲劇的な主婦がテレビに出ていたりしますよね。
現実を見れば、FX参加者の殆どは勝てていません。理由は単純。FXとは、全世界のFX参加者を相手に戦うことだから。
名だたる大銀行、切れ者集団のヘッジファンド、高速処理に特化したスーパーコンピュータやLPに物理的に近い地理条件でVPNを配置したりして人間には真似できない速度で売買するHFT、相場で10年以上生き残っている腕のたつ個人トレーダー・・・などなど、FXとはこういっためちゃくちゃに強い連中を相手に戦うことになるので、初心者がFXをやって負けていくのは・・ある意味当然のことだ。
負けると口座からお金が減る。この減ったお金はどこへ・・?
簡単なことです。FX業者の口座に入ったんです。残念ですが、負ければ負けるほどFX業者は潤います。FX業者が儲かるビジネスモデルとは、そもそも参加者の大半が負けるから稼げるという構造があります。
これは理解しておいてください。FX参加者は、だいたい負けている。だからFX業者は儲かっている。
儲かったお金でスプレッドを減らし、手数料無料にして、広告を出して、さらに初心者を集めます。そして、参加した人たちが、また負けていく。またFX業者は儲かる。これの繰り返しです。
客寄せのためならカレーライスを配る業者までいます。少ないスプレッド・手数料無料・豊富な通貨ペア・口座開設のボーナス資金や食品などなど、客を集めるためならなんでもありです。
FX業者は口座数を増やしてなんぼ。負ける人間の数が多いほど、業者に入ってくるお金は多い。
FXで勝ち過ぎると「いやがらせ」を受ける
負けている人が多いほど、FX業者は儲かると言いましたが、実際にはもうちょっと複雑です。
実は、FXの世界はゼロサムと呼ばれており、誰かが負けた分だけ誰かが儲かっているのです。それはFX業者だけではない。
そう・・勝ち続けている個人の存在です。FXで時々6億円を稼いだ、なんて人がいますが、その6億円はどこから出てきたのでしょう。当然、負けた人から出ています。その負けている人の中にはFX業者も含まれていたりします。
例えば、ある業者Aで、すごく腕のたつ個人が1ヶ月で5億円を稼いだとしましょう。しかし、困ったことに業者Aのその月の利益は3億5000万円しかありません。その個人に決済されると、5億円を払わなければならない。しかしそれをすると、1億5000万円の赤字です。
どうするか?
簡単ですね。決済した時にスプレッドをいじったり、レートをずらしたりすればいいんですよ。そんなことやっていいのか、という話ですがそういう悪徳な業者はよくあります。
他にも業者から見て利益の出しづらい売買をしている個人もやっかいです。ポジションを作って、すぐに決済する「スキャルパー」と呼ばれる人たちには業者は頭を悩ませています。あまりにも決済速度が速すぎて、自分たちの取り分を出せないんですよ。
FX参加者の殆どは、よみを外してどんどんポジションにマイナスを膨らませますが、スキャルパーは決済が速いのでマイナスが膨らむ前にポジションを解消していることが多い。これでは利益を出せない。
どうするか?
簡単ですね。そういう売買をしている個人を追っ払うんです。「あなたは当ブローカーのルールに反している売買を行ったため、口座を凍結させていただきます。期日までに出金するようお願いします。」と、死の宣告が来ます。これほんとうの話ですよ?
ルールなんて向こうの言い分でいくらでも通るように作られているので、どうしようも無い。
FX業者とは何者なのか、分かってきた?
FXのスプレッドの仕組みや、それで稼いでいるLPやブローカー。
参加者のほとんどが負けているから、儲かっているブローカー。
勝ちすぎている人がいると「いやがらせ」をしたり、勝ちづらい売買をしてくる人を追い出したりするブローカー。
色々と現実に近いことを解説してきました。
特に業者からいやがらせを受けるという話は、初心者にとってはかなり衝撃的ではないでしょうか。
ただ・・そこまで深刻に考える必要もありません。
例えばスキャルピングですが、そもそもこの手法自体が初心者にはまったく向いていないので、使わなければいいだけです。日本の業者はスキャルピングを嫌う傾向にありますが、要するにスキャルピングしなければ普通に使えるというだけの話。
では、億単位で勝ち抜いていると「いやがらせ」を受けるのかと言うと、これも真っ当な方法で利益を出しているなら、まずありえません。大手の業者は金融庁などから規制を受けていますから、真っ当な方法で稼いでいる個人を無理やり「負かす」ようなことをしていると、間違いなく行政指導などを受けるハメになりますから。
まぁ・・そもそも億単位で稼いでいる個人なんて、滅多にいないという問題があるので、あまりそのあたりは初心者の間は気にしなくていいかと。
FX初心者はどのようにして業者を選べば良いのか?
超短期の売買、つまりスキャルピングで稼いでいくつもりなら・・残念ながら日本の業者でオススメできるところはありません。
それでもあえて国内業者でスキャルピングもある程度出来そうな業者を出せと言われれば、外為ファイネストあたりですね。
さて、では初心者におすすめできる業者とは何なのか?
ということですが、単純に言うと資金力のある大規模な業者に限定されます。口座数を多く持ち、多数のリクイディティプロバイダー(カバー銀行)を持ち、金融庁などの規制当局の監視下にあるような規模のデカイ業者なら、初心者にもおすすめしやすいです。では実際にはどこのブローカーなのか、以下3つのFX業者を取り上げます。
DMM FX
国内業者ではかなり有名なFX業者です。広告にモデルのROLAさんを起用しているので、僕もよく知っています。
さてDMM FXは国内に50万口座を有する大規模なFXブローカーです。その莫大な資金力を元に(DMM.comはFX以外にも多岐に渡るビジネスを展開しているので、お金はかなり持っている)、2つの信託銀行を使って利用者に対して信託保全を行っている。つまり、信託保全を行うための信託銀行が片方倒産するような緊急事態に陥っても、問題がないということ。次にDMM FXが万が一にも倒産した場合、お客が預けていた口座預金の全額が保証されるということ。
DMM FXのようなデカイ業者が倒産するのか・・という点ですが、誰も予期しないような急速かつ大幅なレートの変化があれば、大規模な業者といえど割と簡単に逝きます。
例えば、世界最大のリテールFX業者として名を馳せたFXCMも、スイスショックであっさりと倒産しています。今は200億円で買収されて、また世界で営業をやっていますが。
DMM FXがスイスショックで普通に生き残っているのは、そもそも日本人でスイスフランという通貨ペアを取引している人はほとんどいないためでした。
ちょっと話がずれてきた。初心者向けのFX業者解説でしたね。
DMM FXはインターネットを通じて売買できるため、取引コストは安い。取引手数料は無料、口座維持費も無料、出金手数料も無料です。入金する時は振込をした時の手数料は掛かります。
次に良い点が、スプレッド。DMM FXは50万口座もありますから・・もう分かりますね。そういうことです。正直に言うと、DMMのドル円のスプレッドが0.3pipsというのは、なかなかお目にかかれないスプレッドです。国内でこのレベルのスプレッドを使える大規模な業者は、あまり見かけません。海外なら、あるにはあるんですけどね。
スプレッドが小さいほど、取引コストは安く済むので、初心者にとって悪くない。
カバー先銀行も、1つだけでなく複数用意されており、ここも安心できる点です。例えば、急速なレートの変化が起こると、リクイディティプロバイダーがレートを出さなくなったりします。レートが出ないと注文が出せないし、決済しづらくなります。これって怖い話ですよね。もし持っているポジションが逆方向に走って行ったら損失が膨らむので決済しなければなりません。それなのにレートが出ないから決済できない。
こうならないために、複数のリクイディティプロバイダーを用意しているのです。DMM FXは10行のLPを用意しているので、急速なレート変化が起こっても、10個のうち、どこかはレートを出すので、ある程度は為替の急速な変動リスクに対応できる業者です。
あと、これは「おまけ」ですが、DMM FXは最大で2万円のキャッシュバックキャンペーンをやっているみたいです。取引するとボーナスとして最大で2万円が口座に入金されるというシステム。ボーナス目的の軽い気持ちで、試しに口座開設してみても良いかもしれませんね。
Forex.com
MetaTrader4を使える業者では国内でもっとも有名で、評価が高い業者の1つです。
この業者もFX初心者におすすめしやすい。なぜなら、最低取引の単位が1000通貨だから。デモトレードだけでなく、リアルトレードでも練習を積みたい時に、1000通貨単位での売買は便利です。デモトレードではなかなか磨けない感覚をリアルトレードでは容易に練習できるので。
取引システムにMetaTrader4があるのも魅力です。MT4は世界で最も使用されているプラットフォームで、使えるテクニカル分析が多いことや、EA(エキスパートアドバイザー)と呼ばれる自動売買を使うことも可能です。
スプレッドはDMM FXと比べると、やや広いです。あちらがドル円0.3pipsからで、Forex.comはドル円1.4pipsと、少し広め。ただ、これには20行を超えるLPを採用していることや、Forex.comの運営元であるGain Capitalがスプレッド競争よりも、約定力を重視しているという立ち位置の違いがあるからです。
この記事では急速なレート変化があると、注文が出せなくなる現象が発生すると言いましたが、Forex.comはそのような状況下でも、適正なスプレッドとレートを提供することを「信念」としているので、日頃からスプレッドは少し広いんです。そのあたりに理解を示せるなら、Forex.comは初心者にとっても十分に選択肢になる業者です。
なお、これは余談ですがForex.comを運営している米Gain Capitalは、スイスショックを予期して事前に顧客に対してスイスフランのポジションを決済しておくように通告しており、結果的に顧客もGain Capital自身も、ほぼ無傷でスイスショックを切り抜けたという実績があります。Gain CapitalはFX業界において、そういった実績や技術力などから一種のブランド感を持つ業者となっています。
SBI FXトレード
SBI FXトレード | |
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FX業者名 | SBI FXトレード |
種類 | OTC取引 |
方法 | インターネット |
対応通貨 | 12ペア |
取引単位 | 1通貨 |
取引上限 | 1000万通貨(1回) |
レバレッジ | 25倍 |
取引手数料 | 無料 |
追証 | - |
マージンカット | - |
ロスカット | 必要証拠金50%割れで即時発生 |
ワンクリック注文 | 可能 |
両建て | 可能 |
LP(カバー先銀行) | SBIリクイディティ・マーケット株式会社 |
取引システム | ブラウザ(ダウンロード不要) |
リッチクライアント(ダウンロード) |
SBI証券という株取引ブローカーで有名な、SBIリクイディティマーケットが運営しているFX業者です。
取引に対応している通貨ペアが12など、ペア数こそ少ないですが他の業者には無い最大の特徴が取引単位の小ささでしょう。
1通貨から取引できる業者は正直いってほとんど見ないですから。国内でマトモな業者で、1通貨取引が可能なのはSBI FXトレードくらいです。
デモトレードでは緊張感が無いので、リアルトレードで練習したい。けれど、1000通貨では精神的負荷が大きいのでもっと小さなリスクで売買したい。そんな初心者さんにSBI FXはかなり向いている。
あと、個人的に面白いと思ったのは公式サイトに壁紙が置いてあるんですけど、その壁紙のキャラクターたちは通貨ペアの擬人化なんですよね。そこだけがちょっと面白いと思いましたね。
カバー先銀行は、SBIリクイディティマーケット自身です。そう、自社で自分のレート配信、マーケットメイクを行っているんです!
おそらく、これが1通貨取引を提供できる理由になっていると思います。
ここまで1通貨取引がスゴイと言ってきましたが、SBIはスプレッドも意外と頑張っています。ドル円で0.27pipsから、なので国内FX業界ではトップクラスに低い水準と言えます。
取引単位1通貨・ドル円0.27pipsという狭スプレッドなど、SBI FXトレードは初心者がこれから始める業者としてはなかなかにいい業者です。
FX業者についてのまとめ
これで、初心者向けのFX業者の解説と、初心者におすすめ可能なFX業者について解説しました。
FX業者がどのようにして稼いでいるのか、FX業者が稼ぐ仕組み、そしてほとんどの参加者があっさりと負けてしまっている事実、FXを始める前に知っておいてどれも「損はない」情報を知ることが出来たと思います。
そして、それらの仕組みから考えられる初心者にもオススメの業者も取り上げることが出来た。他にも良い業者はあったが、情報公開がクリアで資本の大きい業者を選ぶと、DMM FX・Forex.com・SBI FXの3つに絞られました。SBI FXは他の2業者と比べると資本は小さいかもしれませんが、1通貨取引・自社マーケットメイクなどが初心者にとって非常に魅力的だったため紹介しました。
リクイディティプロバイダー(LP)など、初心者には少し理解が難しい専門用語も出しましたが、FXは決して簡単に稼げるわけではない・・ということを印象付けたかったので、あえて踏み込んだ解説になっています。なんせFXで勝負を挑むのは「プロ」と呼ばれる連中ですから。車を運転するために運転免許を取らなければいけないのと同様に、FXで勝つためには、ある程度の知識・経験が無ければなりません。