楽天FXの1500pips異常レート配信に見る、楽天FXの「闇」を推測する
楽天FXの異常レート配信の問題。Twitterでも、各種FX系のブログでも話題になっていますね。さて、いい機会ですし楽天FXのリクイディティプロバイダー(カバー先銀行)に関する情報や、OTC業者の闇をまとめ、そして楽天FXが異常レート配信をやらかした理由などを推測してみます。
楽天FXで起こった異常レート配信
楽天FXのドル円にて配信されたレートです。
間の数値を見てください。1503.9pipsと表示されています。つまり、15円ものスプレッドが配信されているのです。
ポジションを取った瞬間に約1500pipsの爆損を抱えることになる。想像するだけで恐ろしい。
この事態について楽天FXの反応。
3月17日(木)夜に発生した、楽天FXの異常レート配信についてご報告とお詫び (3.18 18:49)
2016年3月17日(木)20時46分、楽天FXの米ドル/円において異常レートが1ティック(約0.3秒間)配信され、一部のお客様において、逆指値の新規および決済注文が異常レートで約定される事象が発生しました。
影響があったお客様には、正常レートと異常レートの差額分を調整金として入金する等の対応をおこないました。本事象は配信レートをチェックするシステムの一部に不具合があったためと判明しており、現在、修正作業をおこなっております。
お客様に多大なご迷惑ならびにご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。同様の事態の発生を未然に防止するため、再発防止策を講じてまいります。
異常なスプレッド分は調整金として入金する対応を行ったとのこと。金融庁もいるし、それは当然だよね。
問題は、なんで1500pipsもの馬鹿げたスプレッドを配信したのかということだが、これには色々と考えられる。
一応、システムに不具合があったなどと言っているが・・。
楽天FXが異常レートを配信した理由
あくまでも僕の推測にすぎないが、いくつか理由が思いつくので挙げてみる。なお、真相は楽天FXのディーリングルームにいる従業員など、内部の人間にしか分からないと思われる。
- 楽天FXのリクイディティプロバイダーが誤ったレートを配信した
- 楽天FX側が、レートを少しだけズラそうとしたが誤操作で1500pipsずらしてしまった
最初に考えられるのが、楽天FXに価格レートを掲示しているリクイディティプロバイダー(LP)側のミス。
なのだが、ちょっとまって欲しい。楽天FXはこのような異常レート配信を防ぐために以下のような対策を講じていると公言しているのだ。
「異常レート」への対応については、システム上で自動的に排除できるようになっております。仮にインターバンク市場から実勢価格と大幅に異なるレートが配信されぬよう、レートレベルごとに4重のフィルターを用意し、異常なレート配信を未然に防止する仕組が働き、常に健全なレート供給が実現しております。
システム上で自動的に排除だと・・?
しかも4重のフィルターを用意して、異常なレート配信を未然に防止するシステムが機能するため、それによって常に健全なレート供給が実現可能になっていると謳っている。
だが、実際には1500pipsと異様なレート配信を行ったわけだ。
システムによって異常なレートを排除できなかったということは、逆に考えれば「誰かが意図的に馬鹿げたレートを配信した」ということにならないか?
今回の問題を起こした楽天FXは、楽天証券が運営しているサービスだ。ややこしいが、実は楽天FXはもうひとつある。それがFXCMジャパンだ。今はFXCM楽天として営業をしているが、公式サイトのドメインは紛れも無く「fxcm.co.jp」となっている。
前者の楽天FXは、いわゆるOTC取引システムで、後者のFXCM楽天は、NDDを採用している。NDDはノンディーリングデスクという意味で、顧客と業者の間で価格のやり取りを行うのではなく、システムを通じて直接インターバンク市場(LP)と直結している取引システムのことだ。(直結しているかどうかは、業者の言葉を信じるしか無いが・・)
OTCは、相対取引というもので、顧客と業者の間で価格のやり取りを行っている。ということは、業者側で顧客に対して異常なレートを配信することは可能なんだよね。
ここまでの流れから自然に考えれば、あの異常レート配信はバグではない。人間のミスだと考える。
本当は、1.5pips、あるいは15pipsくらいのレートを配信してスプレッドで稼ごうと思ったのだろうが、ディーリングルームの従業員の「誤操作」で1500pipsを配信してしまった可能性だ。
そもそも・・誤操作以前の問題として、顧客に業者側が意図的に、しかも馬鹿げたレートを配信する行為が常態化している可能性すらある。
真相が明らかになることは無いが、結論から分かることは「楽天証券の楽天FX」は絶対に使うな。ということです。
豆知識・楽天FXのリクイディティプロバイダー
ここまで読んでくれたお礼というわけではないが、ちょっとした豆知識として楽天FXのリクイディティプロバイダーをまとめておく。
実は探すのに、かなり苦労した。本来ならリクイディティプロバイダーやカバー先銀行は顧客に対して、すべて公表するべき情報だが楽天FXにはそのような姿勢は見られない。失礼な物言いですまないが、楽天FXは悪く言えば「悪徳FX業者」だろう。カバー先銀行を分かりづらいところに記載しているということは、カバー先銀行にも何らかの問題があるかもしれないからだ。
ということで、以下に楽天FXのLPをまとめる。
- バーチュフィナンシャル(Virtu Financial LLC)
- US SEC(米国証券取引委員会)
- Central Bankof Ireland(アイルランド中央銀行)
- ASIC(豪州証券投資委員会)
そう、実は楽天FXのLPはたったの1行しかない。バーチュフィナンシャルだけだ。
あとのUS SEC・アイルランド中央銀行・ASICの3行はすべて規制機関に過ぎない。カバー先銀行としての機能は持っていない(はず)。
ここで少し踏み込んだ情報を。
このバーチュフィナンシャルは、一応は全世界でマーケットメイクの事業など、リクイディティプロバイダーとしても活動する企業だが、株式公開がされたのは2015年になってからだ。
フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たちマイケル ルイス,Michael Lewis,渡会 圭子,東江 一紀 2014-10-10
それまでの間はHFT事業を行う大手企業として、闇のベールに包まれていた企業だった。しかも、マイケル・ルイスによるHFT業界に関する暴露本「フラッシュボーイズ」のヒットを受けてIPOを延期しているのだ。
少し嫌な匂いがするな。1500pipsが配信されたのは、ほんの0.3秒に過ぎないが、HFTを専門に行なってきた大手企業であれば、その間に利益を出すことも可能だったのでは・・。
結論、情報公開がクリアなFX業者を使おう
例えば国内最大手のFX業者、DMM FXなど。
LPもしっかりと公式サイトのサービス概要に明記されている。
世界のリテールFX業界において、圧倒的なブランド力があるGain Capitalが後釜についているFX業者。
カバー先銀行については、主要なLPはGain Capitalだが、そのGain Capitalの持つカバー先銀行が10行を超えている。
特に、UBSやドイツ銀行がLPに入っているのは信用しやすい。
という風に、まずはFX業者がマトモな情報公開を行っているか。この点だけでも、ある程度業者を選別できるだろう。
なお、楽天FXの公式サイトをいくらか眺めてみたが、なぜこの業者を選ぶ人がいるのか、イマイチ僕には理解が出来なかった。しかもツールの紹介画像に、既にあやしい影があるんですよね・・。
僕にはこの妙なヒゲ(赤い○で囲んだところ)がどうしても気になってしまう。楽天FXの闇は深い。