手数料の安さが魅力のネットバンク、ソニー銀行のススメ
プレイステーションなどで有名なソニーが運営している金融部門「ソニー銀行」。ジャパンネット銀行などはネットバンクの先駆けとして知られていて、それらの銀行は手数料収入による低コスト運用が収益の柱だった。それに対してソニー銀行は手数料を抑えて、独自のサービスによって顧客を集めることで成功している珍しいタイプのネットバンクである。この記事ではソニー銀行の魅力について解説します。
この記事の中身
そもそもソニー銀行ってどんな銀行?
まずはここから、ソニー銀行の当たり前の情報についてまとめてみたい。
- 手数料が安い
- 外貨預金にも対応している
- VISA機能のついたキャッシュカード
- S&Pなどの大手格付け機関からAの評価
- MoneyKitという専門サイトで情報発信を行っている
- 一人あたりの預金残高がネットバンクで最高水準
- 日系金融機関ランキングで9年連続1位
この7つが、ソニー銀行の最たる特徴です。
他のネットバンクと比べると、かなりユーザーの満足度を高めるためのサービスが多いように感じます。そして、このサービスの良さが、日系金融機関ランキングで9年連続1位を獲得したり、大手格付け機関からA以上のランクを獲得したり、1人あたりの預金残高が100万円を超えているというネットバンク最高水準に達しているなど、他のネットバンクには無い実績を生み出しています。
ソニー銀行の手数料
ほとんどの手数料が安い、あるいは無料です。順番に手数料を見ていきます。
振り込み方法 | ソニー銀行宛て | 他の銀行宛て |
---|---|---|
ネットバンキング | 無料 | 無料(月1回) |
まず振り込み手数料は、ネットバンキングで行った場合で、ソニー銀行宛の場合に「無料」になります。これは回数制限無しです。
他行宛だと、月1回は無料です。2回目以降は216円となります。※Sony Bank WALLETを持っている場合は月2回まで無料になります。
なお、ATMから振り込みをする場合は三井住友銀行のATMのみ振り込みが出来ます。手数料は月4回まで無料ですが、三井住友銀行の振り込み手数料は掛かるため、ネットバンキングで振り込みをしたほうが賢いです。
提携ATM | 預け入れ
カードローンの返済 残高照会 |
引き出し
カードローンの借り入れ |
---|---|---|
セブン銀行 | 無料 | 無料 |
イオン銀行 | ||
コンビニATM | 無料 | 無料(月4回) |
ローソンATM | ||
三井住友銀行 | ||
三菱東京UFJ銀行 | ||
ゆうちょ銀行 |
次にATM手数料。
提携ATMのセブン銀行とイオン銀行を使えば、預け入れ・返済・残高照会・引き出し・借り入れのすべてが回数制限なしで無料です。これはすごい。
それ以外の提携ATMでも、預け入れなどは回数制限なしで無料に。引き出しや借り入れは月4回まで無料です。5回目以降は108円の手数料です。
ソニー銀行の手数料が総じて安いのは、手数料収入を収益の柱としていないからです。この銀行は主に資産運用などの金融サービスの提供によって利益を上げています。そしてそこにある種の信念があるのでしょう。
その信念とは、例えばある銀行に100万円の預金をしていたとしましょう。金利は年0.05%で、1年放置すると500円増える計算です。しかし、その銀行は引き出し手数料が164円です。彼は1年の間に4回ほど、事情があって引き出していました。この結果、払った手数料は648円に。せっかくの金利分500円は手数料によってペイされてしまいました。
ソニー銀行は運用によって利益を挙げようと考えているので、せっかくの運用分を手数料で顧客から奪ってしまっては元も子もないと考えているのです。これがソニー銀行の信念だと思います。でなければ、この手数料の安さはありえません。ATMはセブンとイオン銀行を使えば、制限なく無料。ソニー銀行の強みの1つです。
海外対応VISAデビット付きキャッシュカードが便利
VISAデビットのついたキャッシュカードなら、他のネットバンクでも発行できるんですが、ソニー銀行のSony Bank WALLETというキャッシュカードは海外対応なんですよ。現地通貨の預金があれば、このカードを通じて現地でショッピングが出来るということ。しかも手数料は無料、すごい。
他にもすごい点があるのでまとめます。
- 1枚のカードで11通貨対応
- 世界200以上の国で使える
- Visa加盟店3800万店舗で利用可能なデビッドカード
- 国内外230万台以上のATMで引き出し可能
- ウェブ通帳から管理しやすい
- 国内ショッピングなら最大2%のキャッシュバック
- デザインが他行とくらべて際立ってセンスがある
主にこの7点がソニー銀行のキャッシュカードのアピールポイントになります。
まず注目したいのが1枚で11通貨対応という点です。ネットバンクでこれだけの通貨に対応している銀行はあまり見ないですよね。
- 日本円(JPY)
- 米ドル(USD)
- ユーロ(EUR)
- 英ポンド(GBP)
- 豪ドル(AUD)
- NZドル(NZD)
- カナダドル(CAD)
- スイスフラン(CHD)
- 香港ドル(HKD)
- 南アランド(ZAR)
- スウェーデン・クローナ(SEK)
それぞれ、利用通貨の普通預金口座にお金が入っていれば、ショッピングの手数料は無料です。ただ、海外ATMから現地通貨を引き出す時は利用料として1.76%(1回につき)が掛かります。
利用通貨の預金が足らなくなった場合は、円通貨の預金から移すことが出来るのですが、この方法でショッピングする場合は為替コストが掛かります。
外貨預金が未開設だったり、10通貨以外のご利用の場合は、ショッピングの場合に1.76%の手数料、海外ATM利用の場合は1.76%の手数料と216円のコストが掛かります。
ということは、要するに海外でショッピングする場合はちゃんと利用通貨の口座作って預金を入れておけば、ほぼコストゼロで買い物が出来るということです。
世界200以上の国、3800万店舗、230万以上のATMで利用可能というのはこのカードがVISAだからです。VISAに加盟しているシステムやショップであれば、利用可能なんですね。
国内ショッピングなら2%のキャッシュバックがあります。が、これはランク付けによって変わります。
外貨預金額(円換算) | キャッシュバック率 |
---|---|
1000万以上 | 2.0% |
500~1000万 | 1.5% |
300~500万 | 1.0% |
0~300万 | 0.5% |
このように、外貨預金にいくら入っているのかでランクの判定がされています。1000万円相当(例えば10万米ドル)の預金があれば、キャッシュバック率は2%に達します。
あと残高以外にも、外貨預金の積立購入を月5万円以上することによってもランクを1段階上げることが可能です。預金残高が300万円未満でも、月5万円以上の積立購入をしていれば、1%のキャッシュバックを受けられるということです。
国内VISA加盟店でショッピングした場合のみ、キャッシュバックを受けられます。ネットショップでもVISA加盟店なら大丈夫ですが、そのネットショップが海外にある場合はキャッシュバックを受けられない可能性が高いので注意。
そして最後にデザインの良さです。カードなんて使えればそれでいいという人もいるかもしれませんが、やはりデビッドカードやクレジットカードには一定の所有欲を満たすデザインも大事だと思うんです。
Sony Bank WALLETのデザインはセンスがあって良いです。個人的にはかなりツボですし、一般的に見てもこれは良いデザインです。
Sony Bank WALLETの特典が意外とイケてる
書き忘れていたのですが、ソニー銀行のキャッシュカードには特典がいくつかあるので紹介します。
他行宛ての振り込み手数料が月2回まで無料に
普通、他行宛の振り込みは月1回に限って手数料無料なんですが、Sony Bank WALLETを持っていることによって月2回まで無料になります。
なお、3回目以降は216円(1回)の手数料が掛かります。これは意外と嬉しい特典ですよね。
トラベレックスでの両替が優遇レートに
知っている人は少ないかもしれないですが、トラベレックスとは日本国内の有名両替専門店です。この店で両替するときにSony Bank WALLETを提示すれば、優遇レートで両替出来る特典。
ハーツレンタカーの利用料金が割引される
海外でレンタカーを借りるときに便利です。Sony Bank WALLETを持っていればハーツレンタカーを通常の料金から5~20%引きで利用可能とのこと。
以上の3点が特典です。僕は振り込み手数料の無料回数が増えるだけでも、地味に嬉しいですね。デビッドカードを持ってるだけでこれだけの特典を受けられるのは中々良い感じ。
金利を狙うなら外貨預金
これもソニー銀行ならでは。
ソニー銀行は外貨預金ができる。そして、その預金金利も円預金とは比較にならないレベルで高いんです。金利が高い、という点もソニー銀行の魅力ではないでしょうか。
そしてその中でも際立って金利の高いシステム「円から始める限定金利」の金利を紹介します。
外貨定期預金(1ヶ月もの) | ||||
---|---|---|---|---|
通貨 | 米ドル | 豪ドル | NZドル | 南アランド |
年率 | 1.40% | 6.50% | 8.00% | 21.00% |
税引き後 | 1.12% | 5.18% | 6.37% | 16.73% |
※2016年2月時点
ただ、この外貨定期預金で気をつけておきたいのはソニー銀行のTTMです。TTMとは両替をするときの為替コストのことで、例えば米ドルの場合、そのコストは15銭(0.15円)となります。
分かりやすく説明しますね。以下はドル円の為替レートが100円と仮定で、かつ1ヶ月変動が無いとした場合です。
1万ドルの外貨預金を作るのに必要な日本円は100万円ですが、そこに15銭のコストを加えると100万1500円となります。1ヶ月の満期を迎えると税引きで1.12%・・しかしこれは年率、月率だと0.1%程度なので、満了した時点で100万1000円相当の預金になっています。ここから円預金に戻すときに、また15銭の為替コストが掛かり、99万9500円になって返還されます。
つまり、この円から始める限定金利は、ドルでやるなら1ヶ月後に円安になっていないと元本割れを起こすわけです。
もし、返還時にドル円が105円になっていれば、そこから為替コスト15銭を引いた104万8500円で返還され、米ドルにするときの為替コストを含めて合計で4万7000円の差額になります。
逆に円高が進み、95円になっていれば・・もうおわかりですね?
外貨預金の高い金利は基本的には、魅力です。が、為替レートの変動というリスクを抱えているので、難しいところです。
ただ、ソニー銀行はこの金利がなくても十分に魅力的な要素を持っていることは分かっているので、ネットバンクの口座を開設するならぜひ選択肢に入れたいネットバンクです。